アリババはまだ Wan 3.0 を発表していません。現時点では、Wan シリーズで一般提供されている最新モデルは Wan 2.7 のままであり、「Wan 3.0」という名前のものは Alibaba Cloud Model Studio にも DashScope API にも一切登場していません。しかし 7 月 31 日、AI ツールプラットフォームの PixelDojo が、次世代 Wan モデルへの早期アクセスを受けたと投稿し、音声付き 30 秒単発生成のデモ動画を公開しました。これに加えて、7 月には Wan チームから Apache 2.0 ライセンスのエコシステムリリース(音楽生成の WanSong、music-to-dance の Wan-Dancer、リアルタイム対話の Wan-Streamer)が相次ぎ、フラッグシップリリースが近いことをうかがわせます。
私たちはWan 3.0 のページをすでに公開しており、カタログ内の他モデルと同じエンドポイントと API キーで利用できます。本記事では、Wan 3.0 について実際にわかっていることと、推測やでっち上げをきちんと切り分けてお伝えします。
Wan シリーズが注目に値する理由
Wan はアリババ・通義実験室(Tongyi Lab)の動画モデルファミリーであり、この分野でもほとんど類を見ないスピードで進化しています。約 1 年で 6 つのメジャーバージョンが登場しました。
大きな転機となったのは 2025 年 2 月です。アリババが Wan 2.1 シリーズを Apache 2.0 ライセンスでオープンソース化し、その中には一般向け GPU 1 枚で動く 1.3B 版も含まれていました。その後 200 万回を超えるダウンロードを経て、ComfyUI のワークフローや LoRA ファインチューニングの一大エコシステムが形成されました。続く Wan 2.2 は 2025 年 7 月に登場し、Mixture-of-Experts アーキテクチャを採用します。総パラメータ数は 270 億ですが、ステップごとに実際に動くのは 140 億のみで、高ノイズ領域を扱う「シーン構成とモーション」担当のエキスパートと、低ノイズ領域を扱う「ディテールと一貫性」担当のエキスパートに仕事を分担させています。
2.5 以降のシリーズではネイティブ音声対応が追加され、2.6 ではリファレンスから動画への変換性能がさらに強化されました。そして 2026 年 4 月にはWan 2.7に到達しました。テキストからの動画生成、画像からの動画生成、リファレンスからの動画生成、指示に基づく編集という 4 モードを備え、最大 15 秒・1080p・音声同期付きというスイートです。この間、Video Arena のランキングでテキスト→動画と画像→動画の両方の Elo スコアでトップに立った「HappyHorse 1.0」という匿名モデルがありましたが、後に同じファミリーのモデルだと判明しました。
早期デモが実際に示していること
以下の情報はすべて、2026 年 7 月下旬に行われたサードパーティーによる早期アクセス検証に基づくものであり、アリババ公式の発表ではありません。方向性を示す強いシグナルではありますが、最終的な数値については弱いシグナルとして扱ってください。
単発生成で最大 30 秒のクリップ。 これはまさに見出し級のポイントです。Wan 2.7 はおよそ 15 秒程度が上限ですが、デモでは 2〜30 秒の動画を一度の生成で出力しており、あとからつなぎ合わせてはいません。15 秒から 30 秒への拡張は単純に「2 倍の長さ」という話ではありません。拡散型の動画生成では時間方向の一貫性が急速に崩れていき、多くのモデルは 10 秒を超えたあたりから破綻し始めます。安定した 30 秒を出せるということは、アーキテクチャレベルで何かが変わったということです。
インテリジェントな尺決定。 長さを指定しないと、モデル側が自動で尺を決めます。あるテストでは、「側溝を流れ下る紙のボート」というプロンプトに対し、リクエスト内のどこにも秒数指定がないにもかかわらず、結果は 20 秒のクリップとして返ってきました。
後付けではなく、映像と同時に生成される音声。 セリフ、効果音、環境音(ルームトーン)、音楽が、同じ生成パスの中でまとめて作られ、出力ファイルに埋め込まれます。これがアーキテクチャ上の一体化であって、後工程としての「つぎ足し」ではないとわかるポイントは、音声をオフにしてもオンにしても計算コストがまったく同じだと報告されていることです。あるデモでは、30 秒のキッチンシーンの中で 4 行のセリフが、口の動きときちんと同期した形で生成されていました。
混在したマルチモーダルリファレンス。 1 リクエストあたり、おおよそ 10 枚の画像、5 本の動画クリップ、5 本の音声クリップを同時に参照できます —— Wan 2.7 ではリファレンスは 5 つまででした。ある入力からキャラクターを、別の入力から環境を、さらに別の入力から声を取り込み、それらをテキストで指定したとおりに組み合わせられます。
テイク全体を通して維持される一貫性。 30 秒の救出シーンでは、2 人のキャラクターの衣装、顔、空間的な位置関係が最後まで崩れずに保たれていました。これは、ストーリーに組み込める映像と、「ショットの途中で誰かの顔がこっそり変わってしまう」映像を分ける決定的な差です。
アダプティブなアスペクト比。 プロンプトで「縦長のソーシャル広告」と指定すると 720x1280、「正方形のプロダクトループ」と指定すると 960x960 で返ってきます。いずれのリクエストも解像度を明示的には指定していません。
事実ではないこと
いくつかのサードパーティーサイトが、実際のデモや公式ドキュメントと食い違う Wan 3.0 のスペックを掲載しています。ネイティブ 4K、60fps、60 秒クリップ、「ニューラル物理エンジン」などですが、いずれも裏付けはありません。
公開されているデモは 1080p です。物理的なリアリティは確かに向上しており —— ハチミツを注ぐ動き、紙が漂う様子、布の動きなど —— それは個別の物理エンジンではなく、より良い学習データと時間方向のモデリング改善の効果と考えるのが自然です。実際、拡散モデルに本物の物理エンジンを統合することは、いまだ研究段階の難題です。また一部のサイトは、リリース日やオープンウェイトでの公開を既成事実のように書いていますが、そうした情報も確定していません。コミュニティ内の噂として「8 月上旬」という話がある程度で、公式な裏付けはありません。
もしこれを前提にプロダクションを計画しているなら、SEO 目的のページではなく、デモとアリババ公式ドキュメントを基準にしてください。
Seedance 2.5 や Kling 3.0 と比べてどうか
現時点で比較できるスペックに限ると、次のとおりです。
| Spec | Wan 3.0 (Live) | Seedance 2.5 | Kling 3.0 |
|---|---|---|---|
| Max single-pass duration | 30s | 30s | 15s |
| Resolution | 1080p demonstrated | 720p max | Native 4K / 1080p |
| Native audio | Yes | Yes | Yes, multilingual lip-sync |
| References per request | ~10 images + 5 videos + 5 audio | Up to 50 | Multi-image + element reference |
| Availability | Live | Live | Live |
Wan 3.0 とSeedance 2.5は、ワークフローを最も大きく変える要素 —— 単発生成で完結したナラティブアーク(起承転結)を出せる点 —— では互角です。Seedance はリファレンスの投入量で明確に優位に立っていますが、解像度は720pが上限です(ByteDance が発表していたネイティブ4Kは、実際の提供版には反映されていません)。Kling 3.0はクリップあたりの長さこそ短いものの、その尺の中に最大 6 カットの「監督設計済みショット」を詰め込むことができ、多言語対話のサポートが現時点でもっとも成熟しています。
Wan が差別化できそうなポイントは、シリーズに流れるオープンソースの DNA です。Wan 2.1 と 2.2 は Apache 2.0 ライセンスでウェイトを公開しましたが、2.5 と 2.6 では公開されませんでした。もし 3.0 でオープンウェイトに戻るのであれば、自前ホスティングやファインチューニング、自社インフラ内での生成を必要とするユーザーにとって、最有力の選択肢になります。
動画を土台にプロダクトを作る人にとっての意味
実務的には、「30 秒 + ネイティブ音声」が、モデルの役割を「素材動画の供給元」から「短編映像の制作元」へと引き上げます。従来型のパイプライン —— 5〜10 秒のクリップを量産し、つなぎ合わせ、アフレコし、編集する —— は、多くのユースケースで「1 回の呼び出し」に折りたたまれます。TikTok や Reels の枠をフルに埋めるソーシャル用動画、15〜30 秒の広告の初稿、会話シーン、ナレーション付きのプロダクトデモなどがその典型です。
また、私たちのユーザー全体を見ても明らかなのは、「どのチームも 1 つのモデルだけで出荷しているわけではない」ということです。重いリファレンス制御や30秒の単発生成が必要なときは Seedance、多言語の対話とタイトなマルチショット構成がほしいときは Kling、Flux 3、そして今週リリースされたこちらのモデルはクリップごとの定額課金で使い分け、長尺のワンカット・ナラティブやセルフホスティングへの道筋が必要になったときに Wan 3.0 を選ぶでしょう。面白い問いは「どのモデルが勝つか」ではなく、「どれだけ素早くそれらを切り替えられるか」です。
初日から備えておくということ
それは今、私たちにできる部分です。Apiframe 上のすべてのモデルは、同じ POST エンドポイント、同じ API キー、同じ非同期ジョブパターン、そして同じプリペイドクレジットの裏側にあります。あなたのプロダクトに新しいモデルを追加するのに必要なのは、文字列をひとつ変えることだけです。
今日から Wan 2.7 を前提に実装しましょう:
curl -X POST https://api.apiframe.ai/v2/videos/generate \
-H "X-API-Key: afk_your_api_key_here" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{
"prompt": "a paper boat washing down a rain-filled gutter, low angle, afternoon light, ambient street sound",
"model": "wan-2.7"
}'すぐにジョブ ID が返ってくるので、/v2/jobs/:id をポーリングするか、webhookUrl を設定して、クリップが準備できたタイミングでこちらから呼び出せるようにします。Wan 3.0 に切り替えるときは、"model": "wan-2.7" が、"model": "wan-3.0" に変わるだけで、統合部分のそれ以外は一切そのままです。新しいアカウントも、新しい SDK も、Alibaba との別個の請求契約も、マイグレーションプロジェクトも不要です。
Wan 3.0 の料金は、解像度によらず出力 1 秒あたり 26 クレジット(約0.26ドル)です。Wan 2.7 と同様に同じプリペイドクレジットから差し引かれます。詳細はapiframe.ai/pricing に掲載されています。
最新情報を追うには
信頼できる情報源は、Wan-Video GitHub org、Hugging Face 上の Wan-AI モデル群、そして Alibaba Cloud Model Studio のリリースノートです。私たちはこの 3 つをすべて追跡しており、API が公開され次第、Wan 3.0 は Apiframe 上で即日利用可能になります。
API キーを取得 して、今すぐ Wan 2.7 や Wan 3.0 を使い始めましょう。詳細はWan 3.0 のページ をご覧ください。もし「Seedance 2.5 を上回るのか」について議論したければ、私たちの Discord ではすでにその話題で盛り上がっています。
Apiframe Team
The team behind Apiframe - making AI generation accessible to everyone.